秋の奥へ
TOWARD THE DEPTH OF AUTUMNTIME
-for Clarinet & Piano-
(1995)
[ca 12 min.]
「秋の奥へ(ときのおくへ)」は、1995年に作曲した。
厳格な書式の訓練期間を経て後の、最初の作品である。
初演時のプログラムノートに、私はこのように書いていた。
秋は刻々と深まってゆく。
そのプロセスには、色や形として眼に見える世界から、眼には見えない、
より奥深い世界へのうつろいのきわに、束の間あらわれる煌めきと、その余韻がある。
曲は、そうした季節にあって私達の心が、
その煌めきをとどめたいという焦燥と渇望に翻弄され、揺れ動きながらも、
しだいに、まわりのものとの共振と調和の度を深め、
ともに鎮まり透んでゆく姿を、表現しようと目指したものである。
1995年12月、第6回吹田音楽コンクール本選会において初演され、
同コンクール作曲部門第2位(1位なし)を受賞した。
[演奏記録]
1995年12月3日 大阪府吹田市 メイシアター中ホール (Cl:長門由華 Pf:遠藤桂子)
1996年1月 京都府 京都市立芸術大学講堂 (Cl:有馬理絵 Pf:鈴木華重子)
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