不器用なセロと毀れたピヤノの為の〈田園ソナタ〉
PASTRALE SONATA
for gauche cello & broken piano
2019
I とぎれた序曲(オヴァチュア)
Interrupted Overture
II なんとか狂詩曲(ラプソディ)
Somehow Rhapsody
III くるった練習曲(エチュード)
Crazy Etude
IV わすれた子守歌(ララバイ)
Forgotten Lullaby
V よろめく行進曲(マーチ)
Tottering March
VI あらぶる舞曲(ダンス)
Wild Dance
VII だしぬけの終曲(フィナーレ)
Sudden Finale
鈴鹿のお医者さんチェリスト・田中寛さんからの委嘱作品。ご自身が弾くためというにとどまらない、チェロ音楽&音楽家への愛と敬意に溢れた氏の気概と心意気にシビれ、じっくり想を練るさなかお誘いいただいた病院でのコンサートで、ロビーをゴウゴウ揺がすチェロの響きに身体ごと耳を澄ましていると、ゴーシュのセロのお腹の中に放り込まれたネズミのコドモの心持ちが分かり、気づいてみたら賢治の手のように土薫る風変わりなソナタが生まれてきました。
完成は2019年大晦日。猫の声、虎の唸り、カッコウのドレミファ、コダヌキの腹つづみ、鏡の中のロマンチックシューマン、東北農民の荒ぶる踊りetc...ソナタ型のオモチャ箱を突き破って溢れ出す西洋数寄/日本流の田園音楽。言うも野暮ですが、“不器用なセロ”も”毀れたピヤノ”も、ヘンテコな七楽章のタイトルも、揶揄や皮肉とみくびるなかれ!(宮沢賢治に倣っての)まごうかたなき最上級の賛辞なのです。他ならぬこのソナタ自身の音楽が、その証とならんことを。
全ての不器用(Gauche)なセロ弾きに捧げるちょっと特別なこの曲。我こそはゴーシュ、弾いてみたい!という方、ご連絡お待ちしています!
[演奏記録]
2022年1月24日 三重県鈴鹿市(クローズド) Vc: 田中寛 Pf: 鬼頭久美子
2022年5月7日 愛知県芸術劇場 中リハーサル室 Vc: 田中寛 Pf: 鬼頭久美子
2023年6月4日 三重県鈴鹿市 塩川病院 Vc: 田中寛 Pf: 鬼頭久美子