異人歴程

WANDERER'S CHRONICLE

-L.H.の銘に拠る、ヴァイオリンとギターの為の組曲-

-Suite for Violin & Guitar : On the Name of L.H.-

 

(2013)

 

[ca 24 min]

 

 

 

Ⅰ:北へ Toward the North

肖像 α  Portrait α

Ⅱ:西へ Toward the West

肖像 β  Portrait β

Ⅲ:南へ Toward the South

肖像 γ  Portrait γ

Ⅳ:東へ Toward the East

 

 

この作品は、ヴァイオリニスト=ヤンネ舘野氏とフィンランドのギタリスト=ペトリ・クメラ氏の委嘱により2013年夏秋に作曲した。副題のL.H.とはラフカディオ・ハーン(Lafcadio Hearn)の頭文字。ギリシャ・レフカダ島に産まれ、アイルランドに育ち、イングランドを憾み、アメリカを彷徨い、カリブ・マルティニークを愛し、遂にはニッポンに到って小泉八雲と成った彼人。「異人歴程(ゐじんれきてい)」は、L.H.に象徴される漂泊の魂の、世界を渉る旅の軌跡を追う組曲である。

曲は四方位を指す4つの楽章と、それらを繋ぐリトルネロ/プロムナードとしての3つの間奏曲から成る。全曲に共通する幾つかの動機(モティーフ)が、未知の境地に進む度毎、新たな情調(エトス)を纏っては、変容と深化を重ねてゆく。

 

Ⅰ:北方の創世神話。ハーン再話のフィンランド叙事詩カレワラ、魔法と歌と詩の英雄ワイナモイネンの伝承に感化された、やや徒な悪夢としての、スオミ流楽器起源譚。

 α:幼年の肖像。

Ⅱ:西方の妖精伝説。少年ハーンが過ごしたアイルランド、そこで見聞きした怪異や物語に触発された、ケルト風の歌と踊り。

 β:青春の肖像。

Ⅲ:南方の楽園幻想。青年ハーンが魅せられたカリブ諸島マルティニーク、愛と病と死が召還する、クレオール振の行列と祝祭。

 γ:晩年の肖像。

Ⅳ:東方の地霊礼讃。壮年ハーンが遂に行き着いた際果ての国、地神盲僧に憑依された、ニッポン式の語り鎮め。

 
 
 

[委嘱]

 

ヤンネ舘野&ペトリ・クメラ

 


[演奏記録]

 

2014年11月29日 京都市 青山音楽記念館バロックザール (Vn:ヤンネ舘野 Gt:ペトリ・クメラ)

 2014年12月03日 東京都 松本記念音楽迎賓館 (Vn:ヤンネ舘野 Gt:ペトリ・クメラ)

 2014年12月06日 山梨県 河口湖ステラシアター円形ホール (Vn:ヤンネ舘野 Gt:ペトリ・クメラ)



[編成]

Violin/Guitar



[献呈]

 

ヤンネ舘野&ペトリ・クメラ


 

 

 (C)HIRANO Ichiro 2014